2012年2月3日金曜日

【映画】「ロンドン・ブルバード」

こうして、観た映画などをたまに感想というか、ぼやきというか書いてみることも、これからあると思います。


というわけで新年初映画館はこの映画です。





ショーケン映画祭に行こうと思って仕事中銀座シネパトスのHPを見てたら(仕事しろよ)、時間的に仕事の後ショーケンは無理であることが判明、なんとなく同映画館でかかってるほかの映画をチェックしてたら、この映画にたどり着きました。

ブリティッシュ・ノワール小説の映画化ということで、ノワールという文字には無条件で反応してしまう自分、コリンファレルとキーラナイトレイ主演というのが少しひっかかったけど、紹介文を読むと60年代風の雰囲気もあるということなんで、ちょっと観てみようかなと仕事終わってから銀座へ。





つまらなかったです。





原作はあのビリー・ワイルダーの大名作「サンセット大通り」を現代のロンドンに置き換え、主人公の脚本家のかわりに出所したばかりのギャングが主人公という、なかなか魅力的な話。




「サンセット大通り」は、売れないハリウッドの脚本家が借金取りから逃げてたどり着いた大邸宅に、今は引退した往年のスター女優が執事とふたりきりでひっそりと暮らしていて、彼はなりゆきでその家に居候になる。このスターがちょっと頭がアレになっちゃってて、忘れ去られた存在だけれどいまだに過去の栄光が忘れられず、もうバアさんだというのにまた銀幕に返り咲こうと色々画策してるが、相手してくれるのは自分の執事のみ(いまだにファンレターが毎日届くと本人は思ってるけど実はこの執事が書いてる)。脚本家は色々ゴマすってはカムバック作の脚本を書きますとか適当こいて彼女から金を引き出し、ヒモ化するが・・・・というお話。

本当にすばらしい映画なのですが今回はこの映画の話ではありません。



この映画のロンドン版ということで、題名が「ロンドン・ブルバード」(boulevardは大通り、表通りの意)
というわけです。blue birdではありませんよ!



映画はそこらへんの設定をほぼ完全に無視!本来オバちゃんであるはずの女優役をキーラナイトレイがやってるのが観る前から不安でしたが的中、頭のアレなオバちゃんがギャングを振り回す内容の原作(読んでないけどそのはず)を、映画ではヤクザ者と引退はしてるけどパパラッチに追い回されてるスター女優の許されぬ恋路という、


・・・・こっちはそんなもんもう何百回と観てるんだよ!!



と思わず叫びたくなるような内容になってしまいました。

まあそれでも面白い映画にはならないことはないと思うんですが、どうも内容に締まりがない。コリンファレル演じるギャングの主人公は、出所してから足を洗おうとひょんなことからキーラナイトレイ演じるセレブ女優のボディガードになるのですが、過去のヤクザ仲間との縁も断ち切れず、ずるずるとまた暗黒街の世界へ入っていく。で、当然、キーラナイトレイともいい仲になって、ヤる(面倒くさくなってきたせいで投げやりな文になってきてすいません)。あと、彼にはムショに入る前から仲のいいホームレスがいたんだけど浮浪者狩りにあって殺されてしまい、その犯人も探す。

コリンファレルとこのホームレスの関係がいったいなんなのか全く出てこない上に、キーラナイトレイとの恋路とホームレス殺しへの復讐と同時に進行するせいでどっちも中途半端な感じ。途中からホームレスのことは忘れてしまったのか、キーラナイトレイとイチャイチャするのを見て、観客は「コリン星人、復讐は!?」と思ってしまいます。まあ、人間、恋したり家庭に入ったりするとホームレスの復讐や故郷の星のことは忘れてしまうのが世の常です。

ブリティッシュギャング映画にはつきものの、頭のちょっといかれたギャングの残虐な行為もけっこうでてきましたが、お約束って感じでさすがになんかこういうのも飽きましたね。今後こういうので観客を驚かすには、死体をロケットにくくりつけてそいつの仲間の家めがけて飛ばすくらいのことをやらせる必要がありそうです。あと、主人公のギャング仲間の奴が、度胸あっていい奴の主人公と対照的に腰抜けで弱いものイジメしかできないようなザコってのももう飽きました。もういいです。逆にそっちを主人公にしたら新鮮かもしれない。誰も見ないかそんな映画。

良い点をあげるとすれば挿入曲です。60sのブリティッシュビートがたくさん使われています。オープニングはヤードバースの「ハートせつなく」ではじまり、劇中も何回かこの曲が使われていてそこはいい感じです。暗黒街からは逃れられない運命にある主人公の心情がよくあらわされている・・・と映画がステレオタイプな設定ばかりのせいでこっちの語りまでステレオタイプになってしましました。いや、いい曲。久しぶりに聴いたけど、いい曲だなー。

他にもストーンズ(「Stray Cat Blues」という通な選曲)、プリティシングス(「Come See Me」)や米だけどボックストップス(「Letter」)、プリティーズの別名義バンドであるエレクトリック・バナナなんてマニアックなグループの曲も使われてた(タイトル知らん)。

でもヤードバーズ゙以外は微妙に曲の使い方がヘタというか。特にプリティシングスは全然場面にあってなくて好きな曲なのに興ざめしました。

オリジナルスコアのほうはあのカサビアンのメンバーがやっているそうです。カサビアンは、「アーアアーアーア」と言ってる曲以外、よく存じません。この映画でもアーアアーアーアの曲が流れてましたが、あれ俺が大学生のときに流行った曲じゃなかったっけ。もうクラシックになっちゃってるんだな・・・。


オチももう200回くらいみたようなオチ。まあ、友達の復讐とか、そういう義理人情はちゃんと欠かしてはならないという教訓的なオチでした。