2015年10月24日土曜日

【映画】「ターボキッド」

 
 近所の民家が取り壊しをしていて、一度でささっとやればいいものをなぜか毎日ちょこっとずつやっているものだから、半壊した家のそばに常にショベルカーが放置してある。
 それはいいんだけどそのショベルカーが半壊した家以上にボロボロな状態で、ショベルは車検ないんだっけ?とつい思うくらいの瀕死のてい。「廃墟の中の重機もまた廃墟」なんつって、「死刑執行人もまた死す」みたいで、なんかカッコイイな。なんて思いました。
 
 毎日その前を通ってると、なんだかその敷地内だけ、家の取り壊し中に核戦争が起きて世界がほろんだあとの世界、みたいに見えるのは、やはり今年サイコーの映画だった「マッドマックス」以下略




 先日、「ターボキッド」というカナダ映画を観てきました。一週間限定レイトショーだというので、わざわざ仕事のあとに新宿まで行ってきました。

 

 ひとことでいえば「自転車版マッドマックス」。マッドマックスといえば凶悪に改造されたカッコイイ車を、凶悪ななりをしたカッコイイ人たちが乱暴に運転し、終末世界をところせましと暴れまわるものですが、「ターボキッド」の世界では化石燃料や電気の要らないもっとも効率的な移動手段である自転車、というなかなか理にかなった世界です。エコ・マッド。

 自転車といっても、核戦争のあとの世界でもちろん悪路ですから、ママチャリなんかではなく、BMX?というスポーティーなカッコイイ自転車にみんな乗っています。


 


 緊迫したシーンでも、みんな一生懸命、自転車をこいでいるのはなかなかおかしい。クワイエットライオットのジャケットみたいな、いかにもマッドマックスっぽい悪役も、みんな自転車。






 そういえば夜、近所のジムに行くと、駅前の営業の終わったバスロータリーで、若者がそのBMX?でアクロバティックな乗り方の練習をしてる光景を見ます。世界が終わったあとの時のためにも、今のうちに友達になっておこうかな。

 映画では、そういうBMXアクション!みたいのがいっぱい観れるのだろうかとおもっていたら意外にそういうのはほとんどなく、その代わりに?不必要なまでに気合のはいりまくった、北斗の拳実写化みたいなゴアシーンがこれでもかというくらいに詰まっています。5分に一度くらいは血しぶきがあがっていたように思います。それも、メチャクチャすぎてもう9割くらいギャグになってしまっていて、観客の人も、こんな映画を平日の夜にわざわざ観に来るくらいですからそういうのは分かっている人たちなのでしょう、笑いが起きてました。

 そういう血みどろの戦いが起きる場所も、マッドマックスみたいにオーストラリアだとかアフリカの誰もいないところでロケしました、というよりも、カナダの郊外の空き地でそれっぽい場所があったので撮りました、という感じがしてその「近所感」というかとても好ましく感じました。と、いうかこの映画の成立自体が「近所の空き地でマッドマックスごっこをしているうちに本気になっていき、ついに映画になった」という感じで、みんなで一生懸命作りました!というノリがとても愛らしい。勝手に親近感。勝手にもう親友の撮った映画みたいな。「あいつら、ついにやったよ!」って感じで観賞しながら勝手に熱い気持ちになることうけあい(ボンクラ男子限定)!

 かといって、自主映画の安っぽさはみじんもなく、低予算ではあっても、工夫を凝らして、丁寧に画面の隅々まで製作者たちの美意識が徹底されているのはとても感心しました。そこは、予算にかなり開きがあってもマッドマックスと同じ志の高さを感じます。

 日本でも、財政破綻してゴーストタウンになった地方都市で、こういう映画を撮れるのではないかという気がしてきます。それで町おこしをすればいいのではないでしょうか!?(適当)
 

 あと、おもしろかったのがこんな映画なんですがなんとなくオシャレな感じがするんです。タイトルバックのロゴといい、音楽といい80sリバイバルなところは予想通りでしたが、主人公たちの服装も核戦争後ですからそこらへんで拾ったような服で、でもそれが色使いとかとてもポップな感じ。ウェス・アンダーソンがマッド・マックスみたいな映画撮ったらこうなるのでは?なんて思ってしまいます。自転車ってウェス・アンダーソンの映画っぽい乗り物という気がします。
 ウェス、最新作では首チョンパのシーンもあったから、確実に、寄せてきてるよ!(?)


 そういうわけで、こういう映画は感想とかやっぱ野暮ですね。「あいつら、イイ奴らだよ!」って感じです。

 あ、あと主人公が思いを寄せるヒロインのアップルが、頭のネジが外れまくったとってもバカでキュートなナイスキャラなので必見。なんでそんなにぶっとんだ女の子なのかは、劇中秘密が暴かれるのでネタバレになってしまいますから伏せておきますが・・・・・。さっき書いたように、日本で撮られることがあったらアップル役はぜひローラにやってほしい。そういえば、ローラ、バイオハザードに出るそうだけどどんな感じなんだろう?分からないけどローラも寄せてきてるのは間違いない!




 「ターボキッド」は新宿での上映は終わりましたが、本日10/24(土)よりまた一週間限定で、ヒューマントラスト渋谷(いつも思うんだけどこの劇場の名前重すぎないか)で上映するとのこと。ボンクラ男子必見です。