2013年1月24日木曜日

アオヤギ先生のこと

子供の頃はよくわからなかった状況が、大人になってあああれはそういうことだったんか、と思うことはよくあります。

先日正月に実家(といっても都内ですが)に帰った際、久しぶりに揃った家族で昔話に華がさいてたのですが、ふと僕が思い出した小学校の頃の先生の話で、同時期に同じ小学校に通っていた三つ上の姉と大いに盛り上がりました。

先生の名前は「アオヤギ先生」(漢字わからず)。女性です。おそらく、今の僕とあまり年齢が変わらなかったのではないかと思う。

アオヤギ先生の記憶はとても鮮明に残っている。いわゆる、変人先生だった。

女性でしたが、今その顔を思い出すと化粧っけはほとんどなく、髪も短く、丸い眼鏡をかけていて、まったく女性らしさがなかった。顔はなんか、いつも赤っぽかった。変なジャージみたいなピンク色とか花柄のズボンを履き、いつも怒ったような無表情で校内を歩いていた。小脇にいつもティッシューボックスを抱えていた。さっき、今の僕と年齢かわらないと書いたけど自信なくなってきたな・・・。40代といわれればそうだという気もする。見かけで年齢がまったく分からない人種の人だった。

ルックスだけでもかなり強烈だったが、奇行も目立った。まず、しゃべり方が変だった。傘のことを必ず「コウモリ」と呼んでいたのは忘れない(やっぱ年はかなり上だったんだろうな・・・)。いつも子供が劇の科白をしゃべっているような一本調子でしゃべっていた。そして、驚くほど表情を変えない。ある日、水のみ場の流しに靴をはいたまま足を突っ込んで洗っていたのを目撃したことがある。あれはびっくりした。僕は目撃していないが雨にぬれた体を教室のカーテンで拭いていたことがあったらしい(姉談)。

アオヤギ先生には担任のクラスはなかった、それどころか、受け持ちの授業すらなかった。図書館の司書とかそういうわけでもなかった。たまにクラスの担任が休みだったり、自習の時間にクラスにやってきては、ずっと座っているだけで、最後の学活で「今日は、雨が、しとしと、降っているので、コウモリをさして、帰りましょう」(一言一句ママ。はっきり覚えてる。理由は後述)と言うくらいだった。

子供心にもなんかおかしいよなアオヤギ先生は・・・・と思っていた。当然、子供からの人気はなく、陰でネタにされていたが、本人がそれに気づいてるのかどうなのかまったく解らず、いつも無表情だった。小学校のときに一番仲の良かったふじいごうや君によるアオヤギ先生のモノマネ(さっきのコウモリのせりふ)は本当に最高で、あの頃の仲間の間では鉄板ネタだった。

そういう意味ではアオヤギ先生は子供に好かれていたともいえる。学活でアオヤギ先生が来るとなったら、みんな大騒ぎしたものだ。アオヤギ先生は子供たちにとって、自分たちが知っている大人とは明らかに違う変な大人であり、しかもその変な大人が街中とかでなく学校の中にいるという奇妙な状況。今にして思えば僕らはそれをけっこう楽しみにしていたような気がする。


アオヤギ先生は僕が小学校を卒業するタイミンングで僕が通っていた小学校を離れた。確か他の小学校への異動だったと思う。最後、全校朝会みたいなので、アオヤギ先生は全校生徒の前でスピーチしていたが、途中で泣き出した。はじめて無表情以外を見た。しかししゃべる調子はやはりいつもと変わらなかった。


なんだったんだろうね、あの先生は。と姉と大いに盛り上がった(僕の二つ下の弟は年が小さかったので記憶になかったみたいだ)のだが、黙って台所で聞いていた母親から意外な話を聞かされた。









母親によれば、どうもアオヤギ先生は精神を病んでいた人だったそうだ。

当然、休職などの対応をとるべきだったのだろうが、アオヤギ先生の両親は、さるとても立派で重要な仕事をしている人だったそうで、どうも両親から学校側にどうにかアオヤギ先生に教師を続けさせるように、担任は無理にしてもとにかく学校に居続けるようにお願いがあったらしい。

そういう病を抱えた人が小学校の教師をやっているなんて、今からしたらとんでもないことだが、あの頃はまだそういう精神の病への認知や理解が今ほど進んでいなかったのだろうと思う。

あ~なるほどそういうことだったんだ。ありえねえな、とその時は笑い話で終わったが、あとからじわじわとなんだか重い気持ちになってきた。

病を抱えながら、子供たちに笑われに学校に通っていたアオヤギ先生のことを思うと、胸が苦しくなる(病を抱えた人の様子をみて笑っているなんて許せないことだが、子供なので許して欲しい。大体僕らはそういう事情なんか知るわけもないし)。そしてうちの母親ですら知っているのだから、周りの教師や、多くの保護者だってそのことは知っていたはずである。

しかしアオヤギ先生は、自分が笑われていることも理解できる状態ではなかったのではないかと思う。

そういう状態で、なぜアオヤギ先生は働き続けなければならなかったのだろうか?

大人になってもわからないことはいっぱいある。

こうやって文章にしてて分かったのだが、子供の頃から僕はアオヤギ先生に興味本位以外の好意みたいなものがあったんじゃないかと思う。大人になって振り返れば、あきらかに何らかの病を抱えた人であったことに気づきそうなものだが、母親の話を聞くまで僕はずっとアオヤギ先生のことを「変人、周囲から笑われようとまったく気にせず突っ走る人」だと思って疑うことすらなかったから。
今どこで何をしているのか、知る由もないけれど、病気が治って、どこかの小学校にいてくれればいいなと思う。先生は、最後あんなに泣いていたのだから、きっと小学校という場所が大好きだったんではないかと思う。









・・・・・と、新年の挨拶もすっとばしての2013初更新がどうも湿っぽい話になってしまいました。

20日もすぎてしれっと挨拶などいくら図々しい私も難しいことですが、このブログも創設してはや一年。

今後ともますますよろしくお願いいたします。


さて、週末は今年初のNIGHT FOXですよ!



◆NIGHT FOX CLUB
Rare 60's Danceable Northern Soul Drop&Moves,
Motown,R&B & 70's Soulful Dancers
60年代後期から70年代にかけてのイングランド北部におけるムーヴメントNORTHERN SOUL。そこに見られるSOUL MUSICへの愛情と、熱狂的とも言えるDanceへのこだわり、そんな熱いスタイルに影響を受け、尊敬と憧れと情熱を持って2004年発足。
本国では現在も尚、時代に流される事なく愛され続けている、この普遍のモンスターミュージックの数々を、"英国流黒人音楽の遊び方"として提供する事の出来る、都内随一のパーティー。

奇数月第4土曜日、下北沢メンフィス兄弟にてレギュラー開催。

◆日時:2013年1月26日(土) 19:00~23:00

◆会場:下北沢メンフィス兄弟。
東京都世田谷区代沢5-6-14前田ビルB1A
http://memphis-kyoudai.blogspot.jp/
Tel/Fax03-5486-3461

◆入場無料

◆DJs
Stormer Tamai
Akira Sekiguchi
Ichi
uCjima
Adam Torel

◆NIGHT FOX CLUBブログ
http://nightfoxclub.blogspot.jp/



どうぞ宜しくお願いします!!

そして来月2月は昨年末スタートしたDOTS'n'LINEの早くも第二回が開催です。

こちらも凄いことになっております。

詳細はまた後日!!


"DOTS'n'LINE"
Sun 10th Feb 2013
at Shibuya Lush
Start 23:00~ till 05:00
Charge ¥2000(w 1 drink)

Guest DJ:
Mark "BUTCH" Dobson (from UK)
GO fron Tokyo (Bash/WILD & FRANTIC)

Host Band:Stormer & THE STOLEN HEARTS

Regular DJs: Stormer Tamai / Maru(modern records) / Kazegg / uCjima












































2013も宜しくお願いします!

またノーザンソウルでお会いしましょう!


KTF

ウシシ