弟と自分(牛島兄弟)による同人誌「だれかの映画史」ですが、実は中身は映画についてあまり書いてなかったりします!
でも映画はもちろん好きなので、今年は映画好きなところもどんどんアピールしてまいろうと思います。
というわけで、新年最初に観たこの映画について。
今までこのブログでとりあげてきた映画(そんなにないけど)(興味のある方は右にある「映画レビュー」ラベルの投稿をごらんください)は、わざと観てる人が少なそうな映画を選んでまして、なんでかというと観てる人がいっぱいの、話題の映画について、たとえば「シン・ゴジラ、大嫌い!」「なにが『シン』・ゴジラだ、新しいものなんかくそくらえだバカヤロー!!」とか、自分の思うままに(あくまで例です)(このブログ製作者の意図を反映するものではないかもしれない可能性があります)書いたとして、文句を言われそうな可能性があるものは、書く気が起きませんでした。こわいので。
それにそういう話題作はもう本当にたくさんのひとがたくさんの方法によりたくさんの観点から語られるのだから、いまさら自分が何か付け足すこともなにもないと思うのです・・・・。
しかし、今年はあえてこの超話題作ではじめてみようと思います。
毎年元日は弟と劇場で映画を観ることにしていますが、今年は「ドント・ブリーズ」と迷い、元日から三十路の男ふたりで映画館でワーキャーいうのもどうかと思い(どうもそういう映画でもないみたいですが・・・)こちらを選びました。
「スター・ウォーズ」シリーズはもちろんひととおり観ていますし、どれも好きなのですが、周囲にも好きな人はいっぱいいるし、ファンの方たちの熱意を観ていると自分はそんなに思い入れをもっているとは言えないなあ。という感じでした。そういうノリの人は結構いるのではないでしょうか。なんというか、自分は映画は好きだけど、いわゆる「スター・ウォーズ的なもの」に、あまり思い入れがないのだと思います。好きなキャラとか、いまだにいない気がする・・・・(汗)
そんな、そこまで思い入れのない自分ですから「ローグ・ワン」もたぶん好きな人の数十分の一くらいの熱量で劇場に向かいましたが、いやあこれはほんとうにいい映画でした。震えるくらい泣いてしまった。
今回は読みやすくするために、自分を熱くさせたポイントごとに紹介しようと思います。
(ネタバレも含みますので未見の方はご注意ください。)
(細かい表記などが間違っている、ファンにとっては適切でない可能性がありますがお許しください)
①ダメなやつが頑張る映画
これは今までの「スター・ウォーズ」シリーズにはなかった要素なのではないでしょうか(違ったらごめんなさい)。
今作は帝国軍を裏切り、反乱軍に「デス・スター」の設計者からのメッセージを渡す貨物船パイロットが登場しますが、こいつが本当にダメそうな奴で良いのです。
「なんで貨物船パイロットごときがそんな重要人物と交友があったのか?」「なんでこんなダメそうな奴に大事なメッセージを託したのか?」という気もしますが、まあいいじゃないですか。
きっと、社員食堂でよく一緒の席になってたとか、同じ雀荘に通ってて、意気投合したとかそういうところでしょう。
顔からして逃げ足だけはすごく速そうなキャラで、のっけから接触した過激派反乱軍の一味に信用してもらえず変なモンスターをけしかけられたり、とにかく情けないのです。
情けないわりには、彼には不似合いなくらいの使命感があって、結局反乱軍による「デス・スター」設計書の強奪作戦に関わっていくことになります。
なにがそこまで彼を駆り立てたのか、劇中では、彼が語る「設計者から言われた言葉」ということで説明されますが、結局彼とその設計者との間柄がどんなものだったかは詳しく語られません。この「ローグ・ワン」はかなり撮り直しがあったと聞くので、カットされたシーンもいっぱあるのではないかと思います。もしかしたらカットされたシーンにそこらへんが描かれているのかもしれません。
↓こいつです、こうやってみると結構かっこいいな。登場した瞬間、「あ、こいつすぐ死ぬな」と思ってしまって、ごめんよ。
↓こいつです、こうやってみると結構かっこいいな。登場した瞬間、「あ、こいつすぐ死ぬな」と思ってしまって、ごめんよ。
とにかくぼくは、「ダメなやつが必死で頑張る映画」にひどく弱いのです(自分を重ね合わせるのでしょうか)。絶対に泣く。
このダメなキャラが、ダメなりに、ハラをくくって自分が持てる力を総動員し、作戦のなくてはならない重要な働きをしていくクライマックスは本当に熱い気持ちになります。
②名もなきたくさんの人々の語られることのない「死」
一応説明しておきますと、今作はシリーズ公開第一作である「エピソード4」の「前日譚」にあたる映画。「4」のクライマックスとなる、反乱軍による「デス・スター破壊作戦」のきっかけとなる、「デス・スター設計書強奪作戦」がクライマックスとなります。映画史に残る名シーンの「ビギニング」というわけですね。
というわけで、クライマックスはその強奪作戦でたくさんの人々が死にまくります。
もちろん、エピソード1~3も、「ああ、この少年がいろいろあって、暗黒面におちて、ダースベイダーになっちゃうのか」という、すでに決まっている未来、歴史に至る映画であるのは間違いないですが、「ローグ・ワン」における後半の主人公は、そんな「英雄」でなく、死んでいく名もなき人々だった。それは、クライマックスになって急に今までぜんぜん出てこなかった反乱軍のキャラ(名前すらない)がわらわら出てくる演出にも意図的に盛り込まれている気がします。英雄の歴史の陰に、無数の名もなき人々の、語られない死がある。「ローグ・ワン」は、その語られない人々の死によって「歴史」が作られたのだという、熱いメッセージがこもった映画であると思います。「スター・ウォーズ」は、まさに「歴史」となっているのだな、と今更ながら感心してしまいました。
そして、たくさんの人々が命を賭して帝国軍から手に入れた設計書が、ある人物の手に渡るラストシーンは、これまた涙涙です。年末にあったとても悲しいニュースの後にこの映画を観てしまったとしたらとうぜん涙はさらに増します(←ネタバレ伏せたつもりがぜんぜん伏せれてない・・・)。
観てない方、スターウォーズに興味ないという方でも是非劇場でご覧ください!
スターウォーズは、タイトルにもある通り戦争映画なので、シリーズどの映画を観てもだいたい人がたくさん死にます。
しかし、この「ローグ・ワン」ではそういう名もなき人々の死の描写が他のシリーズ作とちがって、重く感じられるところがありました。
それはなぜかと考えてみましたが、それはこの「ローグ・ワン」が一作目「エピソード4」の前日譚だよ、という前提があるからだと思います。
「4」の、「デス・スター破壊作戦」というこのSWシリーズにおける「歴史的事件」に至る「歴史」を描いた映画なので、なんだか第二次大戦とか、ベトナム戦争などの史実を描いた戦争映画を観ているような趣がありました。「ハワイ・マレー沖海戦」とか、「ミッドウェイ」とか。
「ミッドウェイ」で描かれた、ミッドウェイ海戦に帝国海軍が大敗を喫し、それが敗戦の大きな要因となったというのはよくいわれる史実で、観客もそれを分かってあの映画を観て、それでもハラハラしたり感動したりするわけですが、それに近い感覚がありました。
「ミッドウェイ」で描かれた、ミッドウェイ海戦に帝国海軍が大敗を喫し、それが敗戦の大きな要因となったというのはよくいわれる史実で、観客もそれを分かってあの映画を観て、それでもハラハラしたり感動したりするわけですが、それに近い感覚がありました。
もちろん、エピソード1~3も、「ああ、この少年がいろいろあって、暗黒面におちて、ダースベイダーになっちゃうのか」という、すでに決まっている未来、歴史に至る映画であるのは間違いないですが、「ローグ・ワン」における後半の主人公は、そんな「英雄」でなく、死んでいく名もなき人々だった。それは、クライマックスになって急に今までぜんぜん出てこなかった反乱軍のキャラ(名前すらない)がわらわら出てくる演出にも意図的に盛り込まれている気がします。英雄の歴史の陰に、無数の名もなき人々の、語られない死がある。「ローグ・ワン」は、その語られない人々の死によって「歴史」が作られたのだという、熱いメッセージがこもった映画であると思います。「スター・ウォーズ」は、まさに「歴史」となっているのだな、と今更ながら感心してしまいました。
子供のころから、自分は戦争映画でバタバタ人が死ぬ描写に妙に執着するところがあり、たとえばインディ・ジョーンズで悪役のナチスの兵隊がマンガみたいに死ぬシーンに笑いながらも、「今死んでいった人たちひとりひとりにも、家族がいるんだよなあ」と考えこんだりしてしまうところがあったのですが、そういう自分にとって「ローグ・ワン」のクライマックスは、名もなき人々の死、無名兵士の墓にスポットが当てられている映画のような気がして、観ていて涙が出てしまった。
③「彼らは伝えていった」
そして、この映画で自分が最もグッときたのが、デス・スター設計書の強奪に成功し、反乱軍に向けてデータを送信したあとの、強奪作戦チームの主人公二人のやりとり。
「だれか受信してくれただろうか?」
「大丈夫、きっと、誰かが受信してくれてるよ。」
そう、ぼくら観客は勿論このあとのことを知っていますが、2人は知らないのです。このあと2人は、デス・スターの攻撃により惑星もろとも運命を共にします。まだ見ぬ未来に希望を託して死んでいく2人が、私たちはやりきったという穏やかな達成感とともに死んでいくシーンは忘れられません。
この主人公の男女2人は、戦いのさなか、お互い恋愛感情を抱くようになったのか、ちょっと曖昧なところですが、自分としてはそういう男女の感情というよりも、夢と理想を分かち合った信頼関係からくる愛情という感じがして、2人が抱き合って死ぬシーンは、とても美しいと思った。
そして、たくさんの人々が命を賭して帝国軍から手に入れた設計書が、ある人物の手に渡るラストシーンは、これまた涙涙です。年末にあったとても悲しいニュースの後にこの映画を観てしまったとしたらとうぜん涙はさらに増します(←ネタバレ伏せたつもりがぜんぜん伏せれてない・・・)。
これは、帝国軍とべつに戦争しているわけでない我々現実の一般人にも、ぜひ刻み付けて欲しい「生き方」だという気がします。自分の生きている間には、自分の「夢」は叶わないかもしれない。というか、きっと叶わない。でも、次の世代が、または次の次の世代かもしかしたら叶えてくれるかもしれない、だから精一杯頑張ろう、バトンを渡していこう、伝えて行こう、という生き方です。かのキース・リチャーズは、インタビューで「墓碑銘はなんと刻まれたいですか?」との問いに、「『彼は伝えていった』と刻んでほしい。」と答えたとか。杉作J太郎さんも名著「恋と股間」の中で、似たようなことを言っていた気がする。
自分は、「夢をもとう、夢はきっとかなう」なんて無責任にいう表現にはまったく気持ちが動かないけれど、この映画には大変、感動しました。
おれ、スター・ウォーズ好きじゃん!!!!
おれ、スター・ウォーズ好きじゃん!!!!
観てない方、スターウォーズに興味ないという方でも是非劇場でご覧ください!