JOE SIMON / WHEN
これはいい曲。ちっともレアじゃないし、簡単に安く手に入るウレシ盤です!
レーベルのSOUND STAGE 7は、ナッシュビルが拠点のレーベルで、日本のソウルファンにはなじみの深いレーベル。つまり、日本のソウルファンに根強い人気のサザン・ディープソウル系のシンガーで、このレーベルに作品を残している人が多いのです。Lattimore BrownやSam Baker、Roscoe Robinsonなんかがシングルを残しています。ここら辺のマイナー(今ではスタンダードになってるかもしれませんが)なディープソウルのシンガーにいちはやくスポットを当て、リイシューを行っていた一番の先進国が日本であり、P-VINEやVIVIDなどのレーベルだったのですが、最近は英国のKENTがそこらへんは一番盛んですね。
ノーザンソウル的には、やはり大クラシックであるLittle Richieの "Just Another Heartache" やみんな大好き Ann Sexton "You've Been Gone Too Long" などもこのレーベルからのリリースです。どちらの曲もサザン的なノリが色濃くありつつ、ノーザンソウルやフリーソウルでも人気なのだから(まあノーザンソウルってそういうもんですが)、このSOUND STAGE 7というレーベルはとても興味深いレーベルだと思います。
JOE SIMONは、SOUND STAGE 7で当時最もヒットを飛ばしたシンガー。このレーベルでは珍しくLPもリリースされています。人気だけでなく実力もお墨付き、あのOtis Reddingが亡くなった際に遺族に請われて彼の葬儀で歌ったという逸話が残っています(!)。
この曲は彼の作品の中でも少し異色の曲なのではないでしょうか?
いわゆるクロスオーヴァーの曲ですが、インプレッションズスタイルの曲だと思います。
これのどこがインプレッションズスタイルなんだ??と思わそうですが、まあ確かにコーラスグループでもないのになんでインプレッションズを引き合いに出すのかというと、これは声を大にして言いたいのですが、個人的にインプレッションズスタイルってのは、音楽のスタイルだけでなく曲そのものに現れる精神だと思っています。それは公民権運動に対するポジティブかつ平和的なものの見方であったり、穏やかな宗教的的道徳観だったりします。
この曲に現れるゆったりとした、とにかくポジティブな響きは僕にはすぐにインプレッションズを思い出させたんですが、どうでしょうか。エ~~~~~~エ、エイ、メン。
以下、この曲の一番大事と思われるとこの歌詞を抜粋です。
Everybody come on out, there's a a celebration
Men,women and children,there's a celebration
Peace, brother we'll find our salvation
It don't matter which color black or whit we're all brother
We'll give respect to each other
I know we can have a good time
さあみんな出ておいで、お祝いだよ
男も女も子供たちも、お祝いだよ
平和、兄弟よ、きっと救済の道が開ける
どんな色だろうと関係ないさ、黒くても白くてもわれわれはみな兄弟
きっとみんな尊重しあって、楽しくやっていけるさ
こうやって歌詞だけ見たらいまにもカーティスメイフィールドが歌いだしそうな感じがするじゃないですか。エ~~~~~~エ、エイ、メン。まさに公民権運動が盛り上がる、ポジティブな当時の黒人社会の世相を反映したかのような、楽天的な内容の歌詞です。
うーん、いいなあと手に入れた当初はじーんとなって聴いていたのですが、あるきっかけでこの曲がまったく違う顔に見えてきたのです。
YouTubeのコメントで、誰かが「なんでタイトルが"WHEN"なんだ?」と言っていました。
そういやそうじゃん、曲中、一切「WHEN」という言葉は出てこない。この曲につけるタイトルがあるとしたら、頻出する"celebration"という言葉が一番ふさわしいように思えるのだけど、なぜこの曲には"When"というタイトルがつけられたのだろうか?
おそらく、このタイトルには制作側の、この曲で歌われている内容と現実のジレンマに対する思いがこめられてるのではないかと思う。この曲のリリースが69年、キング牧師の暗殺が68年である。
こんな理想郷のような世界は、「いつ」やってくるのか?
本当に、こんな世界が実現するのか?
そういうことを考えながらこの曲を聴きなおすと、Joe Simonの歌もなんだか凄く哀しげに聴こえてくるのである。
でもこの曲のポジティブなバイブレーションが僕はどうしても嫌いになれない。僕は基本的に絶望主義者だけれども、理想郷を夢見ることは悪くないことだと思っている。大体がたかがポップミュージックの歌詞だ。現実がこれだけ醜く陰惨である以上、ポップミュージックの中くらいは理想郷が存在したってそんなにめくじらたてることじゃないだろう。少なくともこの曲の演奏時間の2分間くらいは、この理想郷のことを信じることができるのだとしたら、それだってなかなかのことだ。めったにできることじゃない。
まあ、やっぱ理想郷なんてないけどね!!ペッペッ!
エ~~~~~~エ、エイ、メン。では、またノーザンソウルでお会いしましょう!
あと告知をば。
今年最後のDJは大晦日にUFOクラブにて!!
Stormer & THE STOLEN HEARTSも出演いたします。皆さん都合よかったら是非高円寺でカウントダウンしましょう!
年末 A GO GO!!
2012/12/31(mon)
at 東高円寺UFO Club
Open 19:00~
Charge ¥1500(D別)
LIVE:ポール岡田(ex.ザ・カーナビーツ) グループ, The Phantasms, ディディディディーズ, THE GIFT SHOP, The Cheekys, Stormer & Stolen Hearts, Gurdy Macs, 青山春裕(The Fave Raves)
出店:おしゃれ神戸屋
DJ:uCijma(stormvill records), Mineaki(Lazy Sunday), Shikou(Facing Facts), mari
個人的に、カウントダウン後、新年一発目の曲をかけるという状況に憧れがあるのですが、できますかね!!!???
2012年最後までノーザンソウルで突っ走ります!
KTF.
P.S. ちなみにJOE SIMONは現在は音楽を引退、伝道師となって教会にいる。